人間にとって、口は会話を楽しみ、愛を語り、しあわせ、よろこび、怒り、悲しみをします。ロは愛情の入口であり、食べものをとり、生き、そうして人間は栄えていく。だからこそ、口はどんな犠牲を払おうとも、十分な注意と簡理を受けるだけの価値を持っているのです。(Dr.ハロルド・ワース)
お口の健康手帳について
健康手帳はあなたの履歴書、
健康管理のIDカード
皆様にお渡ししている健康手帳は、お口の健康状態を示すIDカードであり、健康管理の過程を示す履歴書です。その上、健康管理に役立つ情報を提供するデータ・バンクなのです。
「毎年2回、行っています定期検診には必ずお持ちになって、新しい情報を書入れてもらいましょう。あなたの健康創造に
大いに役立つのが健康手帳です。
手帳のなかみ
定期検診による結果報告がその中心になります。
受診年月日、検診結果(2)として(1)細菌付着部2歯肉出血
部(3)ホーム・ケアの評価(4)今回のチェック・ポイント(5)インフォメーションが記入されます。
1)細菌(プラック)の付着しているところをチェックし、図-1の要領で記入されます。臼歯は5面、前歯は4面に分けて表示され、プラックが付着した部分は赤い銅線が印されます。その部分はブラシやフロスがとどかず手入れが不十分ということになります。それを知る為には、上下左右の歯の全ての面をチェックしなければなりません。
2)プラックが歯と歯肉の間にたまると歯肉が炎症を起し出血することがあります。出血部分にも赤い点で印をつけます。炎症や出血は注意深く手入れをすることで健康な歯肉を回復でき、それを保つことが可能です。
3)毎日のお手入をどの様にしておられるかをチェックします。ブラシやフロスを上手に使っておられるか。どの様に習慣化しておられるか。フロスを使っておられる程度などを記録します。
4)歯肉の悪い方、義歯を入れておられる方など、各人のお口の状態によって、それぞれ注意しなければならないポイントを記入します。
5)皆様から色々と、自分の歯の健康に関する情報をお聞きして書入れます。この記録は健康を守る上で貴重な参考 ともなります。
図2の要領に従い、検診結果(2)として、お口の状態が(1)ムシ歯(2)歯周疾患(3)歯内治療予後(4)外観(5)顎関節の状前(6)咬合状態(7)義歯の状態(8)口腔軟組織の状態(9)口腔癌(10)口臭(11)栄養等について記載されます。
1)眼で見て、歯の表面のエナメル質が茶色に変色している程度のものから大きな穴があいているムシ歯を見つけます。歯と歯の間のような眼で見えないところはレントゲンを使って調べます。
着色程度のムシ歯は、すぐに処置せず定期検査毎にチェックし、悪化の傾向があれば時期をみて処置します。ある場合には、その部分の手入次第で進行が止ることもあります。
2)歯肉と歯を支える骨の病気の視診がレントゲンによる検査で歯の動揺度を調べます。歯肉からの出血はその前兆ですから注意が肝要です。
この場合、特に歯肉と骨の際を充分に清潔に保つことが大切です。その部分の検査と骨が失われてしまいますと歯の動揺が起りますので、その程度も詳しくチェックします。
3)歯の中には歯髄というものがあります。この歯髄が細菌に犯されたり、根に炎症が起きたりして治療をしたところなど、経過よく治っているかどうかレントゲンで調べます。
4)前歯が変色していないか、醜くなっていないかをチェックします。
5)下顎関節に無理が掛ることなくスムーズに動くことで、上下の歯は良い咀嚼運動をします。顎を動かす筋肉、神経、または関節に異常が起きますと咀嚼がうまく行きません。それだけでなく、これが原因で頭痛や肩凝りが起きますので良く調べます。
6)上下の歯がうまく咬み合って、前歯で食物を噛み切り、奥歯で噛み砕く。これは消化の第1歩です。上下の歯が
効率よく咀嚼しているか、また無理な力が加わっていないかをチェックします。
7)
取外しの義歯の歯肉が痩せて、義歯ががたついていないか、歯にかかっている鉤がゆるんでいないかどうかを調べます。
8)歯と歯肉の隙間から出血していないか、頬や舌に潰瘍ができていないか、炎症がないかどうかをチェックします。
9)
口腔癌には多くのものがあります。舌癌、歯周病、下顎骨癌、上顎骨癌、咽喉癌など。大抵、その初期には自覚症状がなく、気づかないことがあります。定期検診では、そのような前癌症状がないかをチェックします。1年に2~3人の前癌症状の疑いのある方があり、早い処置によって治されています。そういった意味でも定期検診は大切です。
10) 義歯や歯にプラックがたまりますと口臭がでます。自分の口臭は自分では分りにくいものです。よくチェックすべきです。
11)
バランスのとれた食事は全身の健康にとって大切ですが、歯の健康にとっても非常に重要です。ビタミンCの摂取は特に大切だといえましょう。
以上のような事柄を検査し、もし問題が発見されますと、直ちに処置しなければなりません。その処置のための予約をとり、メンテナンス・プログラムを行うことによって、いつ迄も最適な歯の健康を守っていくことができます。
(質問表)
質問表は、あなたの健康に関する情報を記入していただきます。
・健康にあまり良くないお酒・煙草・砂糖等は自分でやめようとか少なくしようと思いながらも中々実行することができ ないものです。
・体重を適正にコントロールすることも健康を守る上に大切です。
自分の体重を自分で良く認識しコントロールすることは体調を整える上にも重要です。それには食事を常に気をつけて、一日何食とるか、また何を気をつけているか、現在の体調は
どうか、定期的に健康診断を受けているか、その結果はどうであったか。常に自分の健康状態を知っていることが大切です。病気になってからでは手遅れです。その体調を保つには
運動も大切です。ゴルフ・ジョッギング・水泳・体操・ヨガ・散歩等適切な自分にあった運動を続けて下さい。
この表は毎年、定期検査毎に同じ質問に答えていただきます。何年間かこれを続けてゆきますと、ご自分の自覚の過程がおわかりになると思います。
健康な身体をつくり、守ってゆくのは自分自身の責任です。そのためには自分の健康に関心を持つことから出発します。この質問表その歴史を綴ることになるでしょう。
大切な歯をいつまでも健康に保つには
1日1回
ブラシとフロスを使って歯の手入をして下さい。
6ヶ月に1度は
定期的に検査を受けて下さい。
○そのときには
・歯の手入が上手に出来ているかチェックを受けましょう。若し、不充分な処があれば、改めて手入の方法を改善しましょう。
・歯の病気がないかレントゲン等の検査(早期発見)を受けましょう。
・検査のとき病気が発見されたら早期に治療を受けましょう。
・食事(栄養)に充分気をつけましょう。
・全身的な健康に留意しましょう。
いつまでも、健康な歯で
気持ちのよいお口で
何んでもおいしくよく噛めて
いつまでも、美しく若々しく
健康な生活を!
義歯の取扱い
●絶対にはずさないでください。
なれない間は気持が悪いと思いますが、努力して咬みならすようにしてください。
●夜は義歯をはずしてお休みください。
義歯になれてきたら、お休み前にはずして歯肉を休めてださい。(はずした義歯は茶わんなどに水をみたし、その中に入れておくとよいです)
●咬み方を練習してください。
やわらかなものから少しづつ、必ず左右の奥歯で同時に咬むようにしてください。そうすれば義歯が安定します。
●発音の不自由さをしばらく我慢してください。
舌、頬の筋肉が義歯になれてきますと、元通りになります。
●毎食後には必ずはずして手入れしてください。
石けんを歯ブラシにつけてよく洗い、口の中も歯ブラシで清掃してください。特に、釣のついている歯は入念に磨いてください。(義歯と口の中を清掃することは残った歯のむし歯を予防することですから、根気よく手入れしてください)
●痛む場合は、義歯をはずさず来院して下さい。
●定期的に歯科医を訪れてください。
義歯がなれて、完全に自分のものになっても必ず定期的に歯科医を訪れ、歯肉の退縮、残存歯の状備を検査してもらってください。

口は人間にとって素晴らしいもので、人間の情緒においても、日々の
生活にとっても、また人間の美しさにとっても。いままさにたちが生きて
いることを表わしています。
もし動物が歯を失ったとき、その動物の死を意味します。
歯を失ったとき彼らは生き続けることは不可能になり、
その生は終りを告げ、やがて彼らは死んでいくのです。